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       −世界遺産 合掌造り 飛弾白川郷−

           初夏の白川郷
                              


1.はじめに   世界遺産を紹介するNHKの番組で、  白川郷が何度も取り上げられています。  飛弾の奥深い山峡に並ぶ合掌造りの風景  は、異国情緒すら感じさせてくれます。   20070611shirakawa (30).jpg NHKの番組から ←屋根葺き ↓冬景色     20070611shirakawa (31).jpg   初夏の白川郷を訪ねてみました。  滋賀県方面から車で行くときは、名神の一宮JCTで北陸東海道に乗り換え、  荘川ICまで走れば便利です。 20070611shirakawa (1).jpg  「庄川桜」のエピソード を残す御母衣(みぼろ)ダ ムを抜け、しばらく庄川沿 いに国道156号を進むと、 合掌造りの集落が目に入り ました。  異国の村に到着したよう な感動が湧いてきました。   2.どぶろく   白川村萩町の宿に着いたのは、午後3時頃でした。  宿の奥さんから案内図をもらい、最初に向ったのは「どぶろく祭りの館」で  す。どぶろくの振る舞いは4時まで、と聞いたためです。   神社の鳥居の横に「どぶろく祭りの館(やかた)」がありました。  入館料300円を払い、まず「どぶろく祭り」の紹介ビデオを20分ほど拝  見しました。予備知識のなかった私は、「どぶろく祭り」がこの村挙げての  一大行事であることを初めて知りました。 20070611shirakawa (3).jpg  館の中を拝見した後、受付けのところ で振る舞っていた「どぶろく」を、朱塗 りの杯でいただきました。 ←白川八幡宮  ↓どぶろく祭りの風景(ポスターから) 20070611shirakawa (2).jpg   感激しました。実においしいのです。  とろりとしたどぶろくが、すっと喉の奥に流れこみました。あまりの美味し  さに感激していると、もう一杯お代わりを勧めてくれました。   どぶろく祭りは、10月14−15日に行われるそうです。この日に備え、  寒の時期に仕込み、半年以上かけて仕上げるのだそうです。  私の作った(アルコール度数1度未満の)酸っぱいどぶろくなどは、比べ物  になりません。これなら、なけなしの札束をはたいてもいいと思いましたが、  一切販売していないとのことでした。    3.展望台から   あまりにおいしいどぶろくに出会ったため、これで充分来た甲斐があった、  と感激しました。しかし、本来の目的を忘れてはいけません。   まずはぶらぶらと、合掌造りの家が並ぶ村内を散歩しました。  次に、集落を抜けた高台にあるという展望台(荻町城跡)に向かいました。   歩いて15分ほどで展望台に着きました。 20070611shirakawa (4).jpg ←合掌造りの民家  ↓ 20070611shirakawa (5).jpg 20070611shirakawa (8).jpg  展望台からは、合掌造りの民家 が並ぶ集落を一望できました。  このような景色は、日本広しと 言えど、ここ以外では見られない でしょう。  合掌造りの家は「ドイツの農村 家屋に酷似している」と、およそ 70年前に、ブルーノ・タウトは 「日本美の再発見」の中で述べて います。  手前の大きな家は、次に紹介す る和田家です。 ←展望台からの一望 4.和田家   合掌造りを公開している家が3軒ほどあるそうです。  和田家はその中のひとつで、国の重要文化財に指定されています。  (入館料:大人300円 午前9時〜午後5時) 20070611shirakawa (9).jpg ←正面(西)   ↓裏(東)  20070611shirakawa (10).jpg   和田家は、代々庄屋や村長などを務めてきたそうです。  現在の家がいつ頃建築されたのかは、明確ではないようですが、300年以  上は経っているそうです。 20070611shirakawa (18).jpg  居間、仏間、寝室など、日常生活の場 は1階です。 ←煤けた太い梁      ↓炭火を絶やさない囲炉裏     20070611shirakawa (12).jpg 20070611shirakawa (13).jpg  2階は作業場です。 かつてはここで養蚕がされたようです。 ←2階の広間   ↓養蚕の道具  20070611shirakawa (15).jpg 20070611shirakawa (17).jpg  合掌造りの特徴のひとつは、釘を使わないこと です。萱葺きの屋根は、およそ30年毎に葺き替 えているそうです。 驚いたことに、葺き替えの作業は200−300 人の村人が総出で行い、僅か1日(準備を含めて 2日)で仕上げてしまうのだそうです。 ←2階からの眺め       ↓3階      20070611shirakawa (16).jpg 5.火の用心 20070611shirakawa (24).jpg  村の中には、小さな水路が無数に走っていました。 どうやら、全ての家の傍に水路があるようです。  山からの湧き水が豊富で、飲用には湧き水を使った 簡易水道が使われているとのことでした。 ←音を立てて流れる水路       ↓鱒の放し飼い      20070611shirakawa (23).jpg   各家の近くに、小さな三角屋根の小屋がありました。  尋ねてみると、消化栓とホースが収納されているそうです。  茅葺きの家の大敵は火災です。 20070611shirakawa (22).jpg  今でも毎日、朝・夕方・夜・深夜の4 回、「火の番廻り」が行われています。  3回目までは組単位で、深夜の4回目 は村全体を当番が1時間かけて回ってい るそうです。 ←消火栓の収納小屋 6.思い出ノート   今回泊めていただいたのは合掌造りの家でした。  元気で明るい美人の奥さんが切り盛りしていました。   家のすぐ後ろを水のきれいな庄川が流れています。  縁側に座ると、家の前の水路を流れる水の音が聞こえます。訪ねたのは6月  中旬だったので、蛍の乱舞を楽しめるかも知れない、と期待していましたが、  ここでは7月にならないと蛍は出てこないということでした。  20070611shirakawa (21).jpg ←庄川     屋根が斜めになっているのは、湿気が     入るのを防止する工夫だそうです。      ↓泊めていただいた家     20070611shirakawa (20).jpg   山菜料理の夕食をよばれた後、久し振りにテレビのない部屋で寛ぎました。  水路の水音を聞きながら地酒を楽しみ、ぐっすりと眠りにつきました。 20070611shirakawa (29).jpg  翌日は、前日に増して快晴でした。 遠くに、雪の残っている白山が見えます。  澄んだ空気と高い建物のない景色を見 て、カナダのバンフを思い起こしました。 ←残雪の山を遠望    ↓朝の街路   20070611shirakawa (25).jpg   昨夜、宿で見た思い出ノートには、沢山の横文字が書かれていました。  ドイツ、オランダ、アメリカ、オーストラリア、台湾、中国等々、世界各国  からの旅行者が思い出を綴っていました。   外国人にとって、白川郷は東京や京都と並んで人気があるようです。 7.おわりに   白川郷の美しい景観は、自然の美しさだけではありません。  日本の景観を台無しにしている電柱と電線が、あまり目立たないように配置  されています。  (景観の向上に関心をお寄せの方は、別掲の「美しい国 日本の景観」も   ぜひご覧ください)   秋のどぶろく祭りで、振る舞い酒にあやかりたいものだと思いました。  宿泊の予約ができるかどうかを宿の奥さんに聞いたところ、ご主人と二人で  祭りの手伝いをするため、休業するということでした。                     (散策:2007年6月11〜12日)                  (脱稿:2007年7月1日) -----------------------------------------------------------------
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